粉末X線回折とは

 粉末X線回折(Powder X-ray Diffraction, PXRD)は、物質の結晶構造を解析するための重要な手法です。対象となる試料は粉末状もしくはバルク状の多結晶体になります。表面を平らに成形した試料にX線を照射し、得られた回折パターンを解析します。回折パターンから分かることを、以下に3つ示します。

 1つめは、回折パターンから物質が何であるか(定性)、2つめは回折ピークの強度からどのくらいの量なのか(定量)、3つめは回折ピークの幅からどのような結晶状態か(結晶性、結晶子サイズなど)になります。

 

Powder diffraction_figure1

 

1.Braggの回折条件
粉末X線回折の基礎となるのが、Braggの回折条件です。この条件は、結晶の格子面間隔とX線の波長に基づき、回折が起こる条件を示します。具体的には、次の式で表されます。

 

Powder diffraction_figure2

この式は、X線が各結晶格子面で反射して干渉が強め合う(回折ピークが得られる)ために必要な条件を示しています。結晶の中には様々なd値が存在しており、単相の物質であっても複数の回折角度2θが存在します。また、試料中の結晶面がランダムな方向を向いていれば、回折ピーク間の相対強度は物質によって固有の値になります。回折パターンの2θ位置(d)と相対強度から結晶構造を解明できます。

2.粉末X線回折での粉末試料の調製と測定方法
粉末X線回折測定では、粉末の粒子径が粗い場合はメノウ乳鉢や粉砕機を使用して、理想としては10μm程度に粉砕します。粉末試料を溝が彫られた試料板に表面が平坦になるように摺り切り、もしくはプレスにより充填します。試料表面に対するX線の入射角度を変化させながら回折されたX線の強度を検出器で測定し、回折角度2θと強度の関係を記録します。

powder x-ray diffraction

アプリケーションノート

以下のアプリケーションノートは、この分析手法に関連しています。

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