微小部X線回折
微小試料や微小領域に対するXRD分析、マッピング
サンプル上の小さな領域に対して行われるX線回折(XRD)分析は、一般に微小部回折(microdiffraction)と呼ばれます。 サンプルサイズや着目箇所が従来のX線回折計の光学系や精度に対して小さすぎる場合に用いられる技術で、この方法では回折特性をサンプル上の位置の関数としてマッピングすることができるように微小X線ビームを使用します。 微小部光学系は、試料表面上に小さいX線ビームを正確に照射することができ、それによって得られた情報は回折関数マップ(DFM)としてプロットされます。 回折データには、化合物の種類、微結晶の配向分布(テクスチャ)、応力、結晶度、微結晶サイズ等の情報が含まれています。 微小部回折が活用される分野は、材料の研究、製造の分野に急速に拡大しています。これは、以前よりもより小さな領域が製品の歩留まりと信頼性に影響を与えるようになったためです。 微小部回折分析のアプリケーションには、パターン付きウエハ上のテストパッド、コンビナトリアルケミストリーによって形成された化合物ライブラリ、鉱物内のインクルージョン、金属またはプラスチック部品の破損分析、製造における品質管理(QC)などがあります。
従来のX線応力測定は、バルク材料内の残留歪みを測定するものです。 測定しようとする回折線は、X線ビームによって照射された全領域(通常約2mm×12mm)から出てきます。 X線ビームの侵入深さのため、測定に関与する部分は第三の次元を得て立体領域となります。 微小光学系と点光源を用いた場合、直径50μmという細いビームをサンプル上で正確に位置決めすることができ、さらに装置の位置決め精度は10 μm以内です。 図(右)は、直径が0.005インチ(127 μm)の304ステンレス製フィラメント内の応力を測定する様子であり、X線プローブとして使用される微小ビームの大きさを赤丸で示しています。ここでは、適切なサイズとして100μmピンホールを用いたビームを選択しています。
アプリケーションノート
以下のアプリケーションノートは、この分析手法に関連しています。