長周期解析とは

 長周期解析は、物質内部の周期的な構造を評価するための手法であり、特に結晶性材料、半結晶性ポリマー、およびナノ構造体のナノスケールでの周期構造評価に広く応用されています。この長周期構造は、物質の物理的特性や機能性に密接に関連しているため、その詳細な解析は、新素材開発および性能向上において極めて重要となります。

 例えば、高分子材料であるポリプロピレンやポリエチレンでは、結晶性ラメラが非晶質層を挟んで規則的に配列し、この周期性が材料の機械的強度、柔軟性、耐熱性に顕著な影響を及ぼします。

 長周期解析には、小角領域(2θ=数度の範囲)の測定が可能なX線小角散乱法(SAXS)が有効です。密度揺らぎが存在する場合(結晶質と非晶質が周期的に配列している場合など)、その電子密度差による回折が小角領域に観察され、これを長周期散乱と呼びます。

 長周期散乱は、試料内の周期性に起因する回折X線の干渉の結果得られるものであり、ブラッグの回折条件と同様です。したがって、ピーク位置からd値を算出することにより、構造の周期を明らかにすることができます。さらに、試料の配置と長周期ピークが検出される方向との関係から構造の方位、ピークの広がりから構造の乱れを評価することも可能です。また、長周期散乱とラメラ構造の厚みや非晶質の含有量などの微細組織は相関関係があり、  構造を推定することができます。

 このようにして、長周期解析を通じて物質の内部構造を詳細に理解することは、材料特性の向上や新素材開発の研究には欠かせません。

long-period analysis

アプリケーションノート

以下のアプリケーションノートは、この分析手法に関連しています。

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