微小角入射小角X線散乱とは
微小角入射小角X線散乱(Grazing-incidence Small Angle X-ray Scattering, GI-SAXS)は、基板上の薄膜に存在するナノ粒子の状態や粒子径分布、ナノスケールの表面および界面構造の分析に適しています。
GI-SAXSは、半導体量子細線・磁性膜・ポリマー膜の分析や、薄膜の結晶成長初期の観察など、多岐にわたる薄膜材料の評価に広く活用されています。
GI-SAXSは、試料にX線を照射し、わずかな角度範囲(~数度)に散乱されたX線を測定する、小角X線散乱(SAXS)の一手法です。SAXSを薄膜試料に適用するため、GI-SAXSでは以下の測定技術が使用されています。
微小角入射法の使用
基板上の薄膜の評価では、試料表面近傍の限られた領域が分析対象となります。試料表面近傍へのX線照射と散乱X線信号検出を効率的に行うため、微小角入射法が用いられます。
この手法では、X線を試料表面に対して1°以下の極めて小さな角度で入射させ、試料表面付近から発生する散乱信号を検出します。X線の照射深さが表面に限定されるため、薄膜や基板界面からの小角散乱信号を効率的に検出することが可能です。
2次元検出器の使用
薄膜試料からの小角X線散乱信号は、広い受光面と高いダイナミックレンジを備えた2次元検出器により効率的に計測されます。散乱角度と強度との関係から平均粒子径・粒子径分布・長周期構造などが求められます。
また、2次元検出器で得られた画像データには、散乱信号の強度に加えて、受光面上の位置も記録されます。散乱パターンの方位依存性に着目して、薄膜の成長・積層方向の構造と面内方向の構造を分離して評価することもできます。
以上のような特長を持つGI-SAXSは、微細化や3次元構造制御が求められる最先端の材料開発分野で、その活用が期待されています。

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