ダイレクト強度測定

 X線回折装置では、X線源から発せられるX線の「ダイレクト強度」が測定の精度や効率に大きく関係します。ダイレクト強度とは、X線が試料に到達する前の強度のことで、この強度が高いほど、より短時間で正確なデータが得られます。X線回折装置には「放射光施設」と「実験室系装置」の2種類があります。

 放射光施設は、強力なX線ビームを発生させる大型の研究設備です。ここでは、電子が加速器内で高速回転することで非常に高エネルギーかつ指向性の高いX線が得られます。放射光施設のX線はポイント線源で非常に強力であり、試料からの微弱な信号を検出するのに適しています。ダイレクト強度が高いため、微小な結晶や薄膜などの難しい測定においても精度の高いデータが短時間で取得できます。

 一方、実験室系のX線回折装置は、一般的な測定室で利用されゴニオメータはX線の漏洩対策が施された筐体内に収められています。X線の取り出しとして図.1に示すように「ライン」と「ポイント」があり、目的により使い分けます。ライン線源は短冊形の照射野で発せられ、試料上での照射面積を広くすることができ、また高分解能な回折プロファイルが得られます。人工多層膜ミラーやチャンネルカットモノクロメータを取り付けて平行ビームを作成することができます。一方、ポイント線源はライン線源よりも輝度が高く、微小部測定に適しています。

 実験室系装置のダイレクト強度は放射光施設に比べて大幅に低く、測定に時間がかかる場合がありますが、設備を比較的手軽に導入できるため、実験室系装置は研究開発や品質管理、製造現場などで広く利用されています。

Direct X-ray beam intensity measurement_figure1

図.1 実験室系装置におけるライン取り出しとポイント取り出し

direct beam intensity measurement

アプリケーションノート

以下のアプリケーションノートは、この分析手法に関連しています。

リガクおすすめの製品

お問合せ

製品選びから据付後の技術サービスまで、何でもお気軽にお問合せください。