絶対構造決定とは

「絶対構造決定」とは、分子の鏡像異性体(エナンチオマー)における立体配置を決定する手法です。鏡像異性体とは、同じ化学式を持ちながら、立体的に反転した構造を持つ分子のことです。このような分子は、化学的性質は似ていても、生物学的活性や反応性が異なる場合があります。そのため、鏡像異性体の正確な識別は非常に重要です。

絶対構造決定では、特にX線結晶解析が有効です。X線回折データを解析することによって、分子内の原子の位置関係が詳細にわかり、鏡像異性体の構造を正確に特定することができます。具体的には、分子の不斉中心(鏡像対称性を持つ原子)について、その絶対配置を決定することができます。

この技術は、薬剤開発や新材料の研究において重要な役割を果たします。異性体の正確な構造決定が、特定の機能や特性の理解に繋がるためです。

 例えば薬剤の開発において、絶対構造決定は不可欠な役割を果たします。多くの薬物は鏡像異性体を持ち、異なるエナンチオマーが生物学的活性に大きな違いをもたらします。例えば、特定のエナンチオマーが治療効果を発揮し、他のエナンチオマーは逆に副作用を引き起こすことがあります。このようなケースで、X線結晶解析を利用してエナンチオマーの絶対配置を決定することは、薬剤の有効性と安全性を保証するために非常に重要です。 抗がん剤や抗ウイルス薬などの開発において、この技術が積極的に活用されています。 

絶対構造決定は、材料科学の分野でも重要な役割を果たします。特に、分子構造が材料の特性に大きく影響を与える場合、絶対構造の決定が必要です。例えば、液晶材料や高分子材料では、分子の立体配置が材料の光学的性質や機械的性質に影響を与えることがあります。このため、X線結晶解析を用いて正確な絶対構造を決定することが、新しい機能性材料の開発には欠かせません。

 

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アプリケーションノート

以下のアプリケーションノートは、この分析手法に関連しています。

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