卓上型TXRF装置 NANOHUNTER II 環境水中の微量元素分析
はじめに
全反射蛍光X線分析法(TXRF法)は、液体試料を基板に滴下・乾燥するだけで測定することができます。また内標準法を用いることにより検量線を作成することなく、多元素同時定量分析が可能です。液体試料の代表的な元素分析法である原子吸光光度分析法(AAS法)、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-OES法)および質量分析法(ICP-MS法)と比較し、簡便で迅速な分析が可能です。ここでは、TXRF法による環境水中に含まれる微量元素の分析例をご紹介します。
測定・解析例
淡水の標準物質NIST 1643f(Trace elements in fresh water)を用いて、分析値および検出下限の評価を行いました。Ga標準液を内標準物質として試料に添加し、試料10μLを3回、計30μLを石英ガラス基板上に滴下・乾燥した後にTXRF測定を行いました(図1)。
図1 TXRF法における試料調製
表1 NIST 1643fのTXRF分析結果 (単位:μg/L)
測定試料は5検体作製し、作製再現性の評価を行いました。
TXRF測定により得られたスペクトルを図2に示します。Siは主として石英ガラス基板に、Gaは内標準液(Internal standard, IS)に由来するピークです。また、Ga内標準による5検体の平均値における定量分析結果を表1に示します。分析値は標準値と良く一致しており、良好な結果が得られました。バックグランド強度の標準偏差の3倍から算出した検出下限値は、遷移金属元素について0.5~1 μg/L (ppb)の結果が得られており、十分に低い値が得られました。これより、液体試料の分析法としてTXRF法は非常に有効であることがわかります。
図2 NIST 1463f(Trace elements in fresh water)のTXRFスペクトル
推奨装置
- 卓上型全反射蛍光X線分析装置 NANOHUNTER II