アルジロダイト型硫化物固体電解質の組成分析
Application Note
BATT1021
はじめに
LPSやアルジルダイトに代表される硫化物固体電解質は、大気中の水分と反応するため、大気非曝露での取扱いが必要です。ペレットを真空パウチセル内にシールすることにより、XRFによる組成分析が可能です。硫化物固体電解質の組成分析には一般にICP分析が用いられますが、硫黄やハロゲンは揮散しやすく、複雑な前処理が必要となります。一方XRFは、粉末のまま測定できるため、迅速、簡便に分析が可能です。
構成分析
- 分析: 固体電解質
- 用途: 研究開発
- 分析材料: LPSCl,アルジロダイト型全固体電解質
- 使用機器: ZSX Primus IV
- 解析手法: スタンダードレスFP法
真空パウチセルの作製法
10 mmのペレットをフィルムに挟み真空シールしました。
合成条件 |
P |
S |
Cl |
|
仕込み組成 |
1.00 |
4.50 |
1.50 |
|
A |
メカノケミカル |
1.00 |
4.49 |
1.52 |
B |
550 ℃, 2 h焼成 |
1.00 |
4.30 |
1.44 |
C |
450 ℃, 6 h焼成 |
1.00 |
3.87 |
1.55 |
合成条件における組成分析結果
結論
アルジルダイト型LPSClの合成条件の検討を行いました。仕込み組成との比較により、550 ℃ではS、Clの揮発、450 ℃においても長時間の焼成で、Sが揮発することを把握できました。このように大気非曝露でのXRF分析を用いることにより、目的組成との一致を短時間で分析できます。