アプリケーションノート BATT1005
はじめに
NCM正極活物質において、Ni、Co、Mnの組成は電池特性を決める重要なファクターです。組成分析にはICP分析が一般的に用いられますが、酸溶解や希釈などの調整調製が必要です。
一方XRFは、粉末のままで、迅速、簡便に分析が可能です。また、スタンダードレスFP法を用いることで、標準試料や検量線作成なしで、正確な組成分析を実施できます。
構成分析
- 材料: 中間原材料
- 用途: 品質保証
- 分析材料: NCM正極
- 使用機器: Supermini200
- 解析手法: スタンダードレスFP法
Table 1: XRFによるモル比分析の結果とICPの比較(スタンダードレスFP分析)
| 試料 | 
 | Ni | Co | Mn | 
| 
 Sample A NCM (0.33/0.33/0.34) | 分析値 | 0.332 | 0.326 | 0.342 | 
| ICP | 0.33 | 0.33 | 0.33 | |
| 
 Sample B NCM (0.85/0.10/0.05) | 分析値 | 0.847 | 0.098 | 0.055 | 
| ICP | 0.85 | 0.10 | 0.05 | |
| 
 Sample C NCM (0.5/0.2/0.3) | 分析値 | 0.507 | 0.198 | 0.295 | 
| ICP | 0.50 | 0.20 | 0.30 | 

Figure 1: Ni、Co、Mnのスペクトル
結論
スタンダードレスFP分析法で得られた、NCMのNi、Co、Mn比は、ICP分析と一致することが示されました。電極状態でも同様の結果を得ることができます。XRF分析では、ICP分析で必要な酸溶解や希釈などの調整調製と検量線の作成が不要なため、ランニングコストと作業時間を大幅に縮小できます。
 
      