概要:
溶出速度・欠け・均一性など、医薬品の品質には薬剤や空隙の分布が関わっています。
このような品質のばらつきをなくし、安定した品質の製剤を製造するには、製剤化検討段階で適切な評価方法を取り入れることが必要です。
製剤の薬剤分布の可視化には、SEMや顕微ラマン分光法が用いられますが、表面つまりは2次元的な分析になり、製剤の特徴を断片的にしかとらえられません。
このウェビナーでは、製剤の構造を3次元的にとらえる方法としてX線CTを取り上げ、錠剤、坐薬、湿布薬など各種製剤に対する観察・解析例をご紹介します。
このセミナーで学べること
・X線CTの原理と基礎
・各種製剤の観察および解析例
こんな方におすすめ!
・X線イメージングにご興味のある方
・製剤の品質安定化にご興味のある方
・製剤の製剤化検討や品質管理をご担当されている方
Q&A:
Q1: いろいろな形状の粒子のサイズは、どのように決定していますでしょうか?
A: 粒子サイズは、体積、同等直径(同一体積の球の直径)、直径(外接球の径)、肉厚(内接球の径)、等で算出可能です。
Q2: 事例に挙げられていたような錠剤の空隙を解析するためのCT画像を得るのに、1錠あたりどのくらい時間がかかりますか?
A: 使用する装置、錠剤を構成成分の密度、粒子や空隙の大きさにもよりますが、30分~2時間が目安となります。長くても数時間程度です。
Q3: チューブ内の軟膏に関しての紹介がありましたが、チューブの厚みのムラなどの影響はないのでしょうか?
A: チューブ近傍に素材となるアルミの影響が出る場合がありますが、今回はこの影響を抑える条件で撮影しました。
Q4: 本講演で発表された分析や解析事例について、具体的な分析条件や、解析ソフトウェアでの解析方法について、ご教示いただくことは可能なのでしょうか。
A: 可能です。分析条件・解析方法に関するご相談については装置購入後のサポートとして無償対応しておりますので、担当者まで個別にお問合せください。試料をお預かりしての分析条件の決定は、有償分析という形でも対応しております。この場での全試料、全パラメーターの開示は致しかねますが、電圧40~100 kVで、試料が入るFOVで撮影しました。撮影時間やボクセルサイズはお使いいただく装置によって異なりますので、お使いの装置仕様に合わせて条件をご検討いただくと最適な条件が見つかります。
Q5: 錠剤の空隙が崩壊性に相関していることはイメージでわかるのですが、具体的な論文等の報告はあるのでしょうか?
A: 今回ご紹介しましたのは市販薬の空隙の解析例であり、論文発表はしておりません。錠剤内の空隙の大きさや連続性と溶出速度の関係を扱う論文としては、たとえば次のものがあります。Zhang et al., European Journal of Pharmaceutical Sciences, 165, 105921. https://doi.org/10.1016/j.ejps.2021.105921
