リン酸鉄リチウムLiFePO4は、Feを主成分とする安価かつ安全性の高い正極材料として、多くのリチウムイオン電池に用いられています。電極活物質の組成や不純物成分が電池性能に影響を及ぼすため、主成分であるLi、Fe、PやCu、Na、Ca、Znといった微量成分の濃度が管理されています。
蛍光X線分析は、酸溶解などの前処理なしに、粉体や電極板試料をそのまま分析することができる非破壊の元素分析手法です。本アプリケーションノートでは、ZSX PrimusIVを用いて、試薬やバッテリーグレードのLiFePO4試料の主成分および微量成分をスタンダードレスFP分析法(SQX分析法)で定量分析しました。
LiFePO4試薬と比較して、バッテリーグレードの試料は主成分Feの含有量が化学量論値よりわずかに低く、さらに数十~数千ppmオーダーの多種の不純物成分(Ni, Mn, Cr)および添加剤成分(Ti)を含むことがわかりました。
定角測定を追加した微量成分のSQX定量下限値は、ICP発光分光法の分析規格YS/T 1028.5-2015(中国有色金属業界標準)で要求されている測定範囲下限値を満たしています。さらにイオンクロマトグラフィー分析を必要とするフッ素成分は、他の成分と同時に非破壊で分析することができます。
このように蛍光X線分析は非破壊・迅速・高精度な分析手法として、電池材料の組成分析に有効です。
詳細は以下のアプリケーションノートで紹介しています。
XRF1131 ZSX Primus IVによるリチウムイオン電池正極材料LiFePO4のスタンダードレスFP分析
・関連アプリケーションノート
BATT0001 - 電池材料開発
BATT0002 - 電池材料評価
・関連製品
ZSX Primus IV
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【アプリケーションラボXRF分析グループ 王 誼群】