タバコのTG-MS その3
Application Note
B-TA2008
はじめに
TG-MSにてタバコから発生する主要な揮発成分や分解ガスを確認することは可能ですが、多種類の発生ガスを微量成分まで定性するのは困難です。通常、分離カラムを使用したGC/MSでの分析が必要になります。弊社が提供するTG-DTA/GC-MSではオプションとしてガスを冷却トラップし、分離分析できるTG-GCMSモードが選択できます。今回はこのモードにて一般的なタバコと風味付けにメントールが添加されたタバコの2種類について発生ガスの定性を実施しました。
測定・解析例
メントールなしのタバコαとメントールありのタバコβを3.5㎎用意し、He雰囲気で室温~600℃まで20℃/minで昇温しました。図1に示したように150~200℃に発生したガスを冷却トラップし、その後カラムにて分離(微極性カラムを使用)、GC/MS分析を実施しました。
図1 タバコβのTG
図2にタバコα、βのクロマトグラムを示しました。各ピークが発生ガス成分に対応しており、その定性結果を表1にまとめました。ニコチンやヒドロキシメチルフルフラール、2,3-ジヒドロ-3,5ジヒドロキシ-6-メチル-4(H)-ピラン-4-オンといったTG-MS分析で確認されたガスの他にTG-MSでは確認できなかった微量成分の定性を実施できました。このように多種類のガスが発生する試料の場合はTG-GCMSモードによる定性が有効です。
図2 タバコα、βのクロマトグラム
またメントールありのタバコβではαで確認された成分の他にメントールが確認されており、TG-GCMSモードでは追加で添加された微量成分検出にも有効であることが分かりました。
表1 検出された発生ガス成分
推奨装置・推奨ソフトウェア
- 試料観察TG-DTA8122および1ch MS-IF、GCMS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア