アプリケーションノート B-TA1083
はじめに
ステンレス鋼(SUS)は鉄にNiやCrを添加して製造される合金であり、耐食性が高く多くの分野で使用されています。 ステンレス鋼の表面が酸素に接触すると、合金中のCrが酸化され、酸化クロム(Cr₂O₃)からなる薄い酸化被膜を形成します。この酸化被膜によって表面が保護され、内部へのさらなる酸化の進行が抑制されます。形成された酸化被膜は、その膜厚に応じて表面の色が変化することが知られています。
本アプリケーションでは、試料観察TG-DTAを用いて、ChromTA分析により酸化の進行に伴うSUS表面の色変化を評価しました。
測定・解析例
測定は、厚み0.6mmのSUSプレートを直径3mmの打ち抜きポンチで打ち抜いた試料(サンプル重量約3mg)、アルミナ製容器に入れ、Air雰囲気下、昇温速度10°C/minの条件で行いました。
図 1 試料観察TG-DTA測定結果
試料表面の色変化は、RGB出力カラーバーおよび試料観察画像を用いて評価しました。
表面色の変化は400°C付近から開始し、RGB出力にも変化が見られ、カラーバーもグレーから茶褐色へと変化しています。その後500°C付近では茶褐色、600°C付近でほぼ青色となり、さらに800°C付近では青色の部分の面積が小さくなり、再度茶褐色に変化しています。
DTAについても、400°C付近から発熱挙動が認められ、表面酸化の進行と対応していることがわかります。
このようにChromTAを用いた試料観察TG-DTAでは、TGおよびDTAの情報に加えて、温度変化に伴う試料の色や形状を画像として捉えることが可能であり、従来の熱分析に比べてより多くの情報を取得できることが期待されます。