医薬品添加剤の同定

Application Note RAD006

はじめに

RAD006 sticker製薬会社において、入荷した原料が正しいものであるか、また十分な品質基準を満たしているか確認するための品質管理工程は重要で必要不可欠なものです。原料の同定、工程内分析、製品の最終確認における効果的かつ効率的な手法として、ラマン分光法が広く採用されています。

サンプルからの妨害要素を最小限に抑え、効率を最大限に

添加剤の分析では、蛍光の干渉により化合物の同定や分析が妨害されることがよくあります。リガクのProgenyは励起波長1064 nmのレーザーを使用しており、信号を妨害する蛍光を最小限に抑えます。そのメリットを実証するために、多くの医薬品で使用される4つの一般的な添加剤を1064 nmおよび785 nmのレーザーを用いた装置で分析しました(図1~4)。いずれの添加剤の場合も、785 nmのレーザーによるスペクトルには強い蛍光バックグラウンドが生じ、信頼できるサンプル情報を得ることは難しいと考えられます。一方、1064 nmのレーザーを用いた場合は化合物固有のラマンスペクトルが得られ、確実な化合物同定が可能となりました。

RAD006 Figure 1 Sodium carboxymethyl cellulose図1 カルボキシメチルセルロースナトリウム(785 nmと1064 nmの比較) 

RAD006 Figure 2 Alginic acid sodium salt

図2 アルギン酸ナトリウム塩(785 nmと1064 nmの比較)

RAD006 Figure 3 Gelatin

図3 ゼラチン(785 nmと1064 nmの比較)

RAD006 Figure 4 Hydroxyproyl methyl cellulose

図4 ヒドロキシプロピルメチルセルロース(785 nmと1064 nmの比較)

まとめ

励起波長1064 nmのレーザーを用いたProgenyは、785 nmのレーザーで分析できる物質はもとより、蛍光の干渉を受ける物質も分析可能であるため、分析対象範囲が最も広い携帯型ラマン分光計です。製薬会社では、製造工程のどの時点においても研究室レベルの分析が可能になりました。


 

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